印紙のお話し
こんにちは。岸和田事務所の司法書士の飴野圭一です。
今回は、不動産の決済現場でよく目にする「印紙」についてお話ししたいと思います。
不動産の契約書の印紙
不動産売買契約書や請負契約書には印紙が貼られています。これは印紙税法によって、「不動産・・・の譲渡に関する契約書」が課税文書(1号)とされているためです。契約金額に応じた税額の印紙を貼ることが義務付けられており、売買代金が高額になるほど印紙税額も高額になります。
例えば、
・売買価格3000万円の場合:印紙税額1万円
・売買価格1億円~5億円の場合:印紙税額6万円
なかなか高額ですね。
契約書は1通でも問題ない?
不動産売買契約書で、「本契約書を1通作成し、〇〇が原本、〇がコピーを保管する」といった形式を目にすることがあります。この場合、印紙税法に違反しないのでしょうか?
結論:違反しません
国税庁のホームページには以下の様に記載されています。
写し、副本、謄本などと表示された文書でも、
①契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名または押印があるもの
②正本などと相違ないこと、または写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの
は、課税の対象となると定められています。
さらに、「契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、上記のような署名もしくは押印または証明のないものは、単なる写しにすぎませんから、課税対象とはなりません。」
とも記載されています。
したがって、契約書を1通のみ作成し、もう一方が単なるコピーを保管する場合は、コピーは課税対象外となり、印紙を貼る必要はありません。
なお、どちらが原本を保管するかは、当事者同士で話し合って決めて良いようです。個人的には買主が原本を保管するケースが多いように感じます。
領収書に印紙を貼らなくていい場合も
印紙をよく見かける書類の一つに「領収書」があります。一般的に5万円以上の領収書に印紙を貼りますよね。これも印紙税法で、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(領収書)」が課税文書(17号)とされているためです。
しかし、「営業に関しない金銭または有価証券の受取書」は、非課税とされています。
ここでいう「営業」とは、おおむね営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいい、会社や商人の行為は営業になりますが、商人以外の個人の行為は営業にあたりません。
ということは、
一般の個人が単発で不動産等を売却した際に発行する領収書には印紙は貼る必要はない
ことになります。
消印のルール
文書に印紙を貼付した場合、文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています。(法第8条第2項)消印には以下のルールがあります。
①消印方法
文書の作成者又は代理人、使用人、従業員の印章又は署名で消さなければならない(印紙税法施行令第5条)
・単に「印」と表記たり斜線を引いても印章、署名ではないので、消印したことになりません。
・すぐに消せる鉛筆で署名しても無効です。
②消印する人
・文書の作成者
・AさんとBさんとの契約書の場合、通常は2人で消印しますが、どちらか一人が消印しても差し支えありません(基本通達第64条)
いかがでしたでしょうか。今回は印紙に関する基本的な情報をお伝えしました。印紙税法は細かな規定や例外規定も多いため詳しく知りたい方は税理士や税務署に相談されることをおすすめします。
不動産の決済や契約については、ぜひ司法書士法人C-firstまでお気軽にご相談ください。