ちょっとした登記のお話
皆様、初めまして司法書士法人C-first 大阪事務所の司法書士秋山一真と申します。
徐々に日が長くなって、過ごし易くなりつつあります。もうすぐ冬も終わりですね。
さて、難しい話は他の司法書士にお任せすることにしまして、今回は、ちょっとした登記のお話をご紹介したいと思います。
皆様は、登記簿というものをご覧になったことはあるでしょうか。不動産業者さんでない一般の方は、相続やマイホームの購入などの機会がなければなかなかないかもしれないですね。
土地や建物などの不動産は登記簿に所有者等の権利関係が記載されます。
それは、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」(民法第177条)となっているからです。
つまり、登記簿に記載されなければ、自分の不動産の権利を第三者に主張することができない。
すごい怖いですよね。だから普通は登記簿に権利関係等が記載されます。もちろん、権利を主張するかどうかは本人の自由ですから、原則として、義務ではありません。
そして、登記簿は誰でも見ることができます。インターネットサービスを利用すれば、わざわざ法務局に出向かなくても見ることができます(1件につき331円かかります)。皆さんも、「あの土地や建物は一体誰の所有物なのだろう?」と興味があれば調べてみるのも面白いかもしれませんね。
そこで、今回は大阪人であれば誰もが知っているあの不動産について調べてみました。
そう、大阪城です。誰が所有者か興味ありませんか?
まず、あの広大な敷地について登記簿を調べてみました。誰が所有者だと思いますか?
秀吉さん?
いやいや、家康?
「わしが獲ったんじゃ」
それとも、まさか、タレントの上沼恵美子さん?
「わたしが買いました」
そんなわけないですね(笑)。
「所有者 陸軍省」
「は?」ってなりませんでしたか。私はなりました。陸軍省なんてこの国にはもう存在しませんよね。
さらに、建物である天守閣について調べてみました。
「該当なし」………残念ながら登記簿に記載されていませんでした。
大阪城を管理・運営する大阪市によると、自治体が管理する不動産については、その所有権に争いの生じる余地はないので、わざわざ登記をする必要はないとのこと。
敷地については、最初に登記簿に記載されたものがたまたま残っていただけ。名義変更をする予定もなし。
昔の登記簿がそのまま名義変更されず長期間放置されているが為に、九州全体に匹敵する広大な面積の土地が実際の所有者不明となって社会問題化しています。
その解決の為、国民に相続に伴う登記義務を課し(本来、自由のはずなのに)、数年後には住所変更による変更登記も義務化が予定されています。
ならば、公共機関が率先して登記を現状と一致させていくべきだと思うのですが、どうでしょうか。
皆さんはどう思われます?
今回は大して皆さんのお役に立つお話ではなく申し訳ございませんでした。ちょっとした話のタネにでもしていただければ幸いです。
また、相続登記の義務化に伴い、お悩み事がありましたら本メルマガの前回号及び前々回号にてお役に立つ情報が発信されておりますので、是非ともご参考にしていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。