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会社設立の登録免許税が半額になる?

こんにちは。

岸和田事務所の司法書士 古家由紀夫です。

今年の夏も猛暑になりそうで、我が家にいる猫達、私自身も含めて夏を無事乗り切れるのかと不安になっている今日この頃です。

今回の記事は知られているようで、あまり知られていないような気もする株式会社・合同会社の設立登記をする際に国に納める登録免許税が半額になる制度についてのものです。

 

通常、株式会社の設立時には、設立時の資本金の額の0.7%の登録免許税が必要となり、税率を乗じた金額が15万円未満の時は、15万円が必要となります。

合同会社の設立時にも資本金の額の0.7%の登録免許税が必要となり、税率を乗じた金額が6万円未満の時は、6万円必要となります。

設立時には株式会社では最低でも15万円、合同会社では6万円、登録免許税として必要となるということです。

さらに株式会社設立には、公証人による定款認証の手続きが必要となり、この認証費用も資本金の額によって変動しますが、およそ3万~5万円位は必要となり、登録免許税と定款の認証費用を合計すると実費部分だけでもおおよそ20万円近くは必要となります。

株式会社の設立の相談を受けた際に、トータルでいくら位かかりますかと聞かれますが、私は大体30万円位ですと答えています。

そうすると、そんなに高いのかと言われることがありますが、3分の1近くは登録免許税(税金)と定款の認証費用です。司法書士の会社設立の報酬も司法書士ごとに変わりますが、大体9~12万円位だと思います。

株式会社の設立を依頼した際に30万円近くかかると言われると高額に感じるかもしれませんが、ほとんどが税金関係部分なのでご依頼人様にはこの辺りの実情をご理解頂けると個人的に助かります。

 

 前置きが長くなりましたが、株式会社・合同会社の設立登記時のその登録免許税を半額とするために必要となるのは、A4サイズの用紙です。

具体的には、下のサンプル画像のような各市区町村が発行している「経済産業省関係産業競争力強化規則(平成26年経済産業省令第1号)第7条第1項の規定による証明に関する申請書」という用紙に特定創業支援等事業による支援を受けたことを証明するという文言に各市区町村の代表者(市長等)の公印が押印された文書です。

(文書名が長すぎるので記事内では以下、「特定創業支援等事業による証明書」とします)



※この画像は堺市のものです。

この特定創業支援等事業による証明書を取得するためには色々と要件があり

・これから起業をしようとしていること ※初めての起業の方が対象です

・事業を開始して5年を経過していない個人事業主

(個人事業主として事業を開始した後に、法人成りした法人の代表者であり、かつ事業を開始してから5年を経過していない方も取得できますが、既に会社設立の際に登録免許税を納付済みのため、この登録免許税を半額にするメリットは使えません)

・特定創業支援等事業に関する講習の受講(商工会議所などで4回以上の講習の受講が必要)

・交付手数料は無料

 ※但し、大阪府内ではほぼ大丈夫かと思いますが、全国どこでも取得できるというわけではなく、他都道府県の市区町村によってこの制度を採用していない場所もあるようです。

 

と他にも細かな点はありますが、大雑把に書くと上記のような要件があります。

ただ、講習の受講が必要なこともあり、会社を設立しようとお考えの方ご自身に動いて頂く他なく、会社設立の依頼を受ける司法書士側で代理して取得することもできませんので、私共ではこういった制度がありますよ~位しか言えません。

とはいえ依頼者の方にお伝えするとそこまで手間ではないのかご自身で取得してくる人が結構多いです。

対象業種も広い?ようでもあり、株式会社の設立の際の費用を7万5千円節約できるのも大きいのだと感じます。

 

また、この特定創業支援等事業による証明書には、会社設立時の登録免許税を半額にする以外に下記のようなメリットがあり、

・創業関連保証の特例(無担保、第三者の保証なしの創業関連の保証)

・日本政策金融公庫の「新規開業資金」の貸付利率の引き下げ 

等々

 ※もちろん融資関係には金融機関内での審査があります。

 

会社を設立しようとしている方、会社設立はまだ考えていなくともこれから個人事業主として起業しようとされている方は、特定創業支援等事業による証明書の取得を一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

ただ、設立登記の際の注意点としては、特定創業支援等事業による証明書の申請者と株式会社の発起人(合同会社なら社員)と代表取締役(合同会社なら代表社員)が同じ人である必要があること、違う人が代表者で会社設立の登記申請をしてしまうと登録免許税は半額となりません。

また設立予定の会社の本店所在地と発行元の市区町村が違う場合にも、登録免許税は半額になりません。

他にも、特定創業支援等事業による証明書を取得する段階では、商号(屋号)等が未定で申請しても取得できてしまうので、商号(仮にA株式会社とします)その他、会社設立に必要な事項が決まって、いざ会社の設立登記を申請した際に特定創業支援等事業による証明書の商号が未定のままだと、設立申請した会社の商号が「A株式会社」と証明書上の商号が「未定」となり齟齬が生じてしまいます。

そうなると、法務局側に設立申請している会社と証明書上の会社が違う会社だと判断されてしまう可能性もあり、その結果として、登録免許税が半額にならないということも考えられます。

 

これから会社を設立しようとお考えの方は、事前に会社設立に関して司法書士、税理士等に相談しながら、並行して特定創業支援等事業による証明書の取得の手続きを進めていくのがいいように思います。

 

なお、特定創業支援等事業による証明書の取得の仕方、詳細に関しては設立予定の本店所在地の市区町村の窓口にお問い合わせください。

お問い合わせの際には、「特定創業支援事業について聞きたいことがある」と伝えて頂ければ、担当の部署につないでもらえると思います。

役所の担当部署様に丸投げになってしまっていますが、やはり餅は餅屋です。

私共C-firstでは常に最新かつ多面的な、登記・法律改正等の情報にアンテナを張っております。

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